人の移動を支えるエレベーターは、メンテナンスによって機能が回復しますが、メンテナンスを繰り返しても耐用年数には限界があります。
耐久性の優れる油圧式でも、老朽化を免れることはできないので、定期的なメンテナンスに加え、根本的な部品の交換を検討することが大切です。
設備のリニューアルは、今では珍しくなく当たり前の考え方で、耐用年数の大幅な向上に貢献しています。

経年劣化とメンテナンス修理による回復


一般的に、設備は建物に導入を行った当初から、経年的に緩やかな曲線を描いて劣化を始めます。
目安として、約17年目まではメンテナンスと修理で機能の回復が図れるものの、それ以降は急激な曲線を描いて老朽化が進みます。
これは、当初は劣化の速度が遅く、メンテナンスと修理さえ行っていれば、老朽化前に近い状態まで回復できることを意味します。
しかし、内部の部品が耐用年数を間近に控えると、例えメンテナンス効果の高い油圧式だとしても、安全性や機能性に支障が出始めるでしょう。
一方、エレベーターにおけるリニューアルでは、老朽化のタイミングで劣化した部品を交換するので、設備を導入した当初に近い状態まで回復します。
安全性は勿論、性能や耐久性も向上しますし、年式と使用年数の差が開けば開くほど、大幅な性能アップにも結び付くと考えられます。
当然ながら、コスト的にはメンテナンスに比べてやや大きな負担が発生しますが、全く新しい設備と入れ替えるよりは、コストパフォーマンスに優れる入れ替えが実現するでしょう。
油圧式の部品の寿命に関しては、設置環境や設計などの要素に左右されますが、大抵は法定償却耐用年数の17年を境に、新規入れ替えを行うかどうかを検討する頃合いとなります。
20年目を向かえても、問題なく使える設備は珍しくなく、25年目でもまだ動いている場合があります。
ただ、何れにしても寿命は目前に迫っている状況に違いないので、なるべく早く今後の方針を決定することが重要です。

リニューアルのタイミング


エレベーターのリニューアルにおすすめのタイミングは、法定償却耐用年数の17年目を過ぎあと、故障率が高まる20年目〜25年目までの間です。
エレベーター自体の寿命は25年〜30年と言われていますが、人を乗せるものですので万が一があってはなりません。
そのため寿命が来るまでにリニューアルすることが基本です。
メンテナンスで騙し騙し使っていても、見えない所で部品の劣化は進むので、ここは思い切って改修した方が安心できます。
年式が古いタイプは特に、最新の設備に入れ替えることで、運用コストの削減や環境負荷の軽減なども実現します。
気になるのは工期やコストですが、現在は入れ替え技術と効率化が進んでいますから、1週間程度の停止を許すだけで、設備の入れ替えを達成することが可能です。
また、コストは新規設備の導入に比べると、2割から3割ほどの削減効果が発揮されるので、この点も見逃せないポイントとなるでしょう。
実現可能な変更内容には、油圧式の駆動部を機械室レスに改修したり、ロープ式に方式を転換できることなどが挙げられます。

リニューアルの利点


油圧式エレベーターリニューアルの利点として、耐震性の補強で防災性能を向上させたり、ドアまわりの安全性が高められるのも魅力的です。
加えて、昨今において重要性が高まっている防犯対策機能も追加できるので、古くて安全性の不安が高まっている油圧式を、防犯面でも安全で理想的な希望のエレベーターに変えられます。
福祉性能を重視して、車椅子に対応させることも可能ですから、リニューアルの選択肢はとても幅広く、自由度が高いと結論付けることができます。
機能性にばかり注目が集まりますが、傷付いたドアや内装の入れ替えであったり、凝ったデザインの選択といった、意匠面の魅力も優れています。
メンテナンスでは、設備に傷が付いても部分的な補修に留まりますし、大きく補修することができても、塗装の塗り替えが現場で行える限界です。
塗り替えを行ったとしても、使用できる塗料の制約によって、新品のような耐久性を得るのは困難でしょう。
その点、リニューアルは外装部品の入れ替えが実現するので、外観的にも新品と遜色のない改修が達成できます。
エレベーターの改修は、機能面にも美観的にも、改修前とは比べ物にならない魅力が高まります。
設備を利用する人は快適性が得られますし、外観が新品の輝きを取り戻しますから、建物の価値を引き上げる付加価値にもなり得ます。
ドアの傷や内装の傷みは、機能面に影響する問題はないとしても、乗る人に不安を与えたり、改善して欲しいと思わせる切っ掛けとなるでしょう。
油圧式の老朽化度合いによっては、大きく不快な音の発生に繋がるので、不安感に拍車を掛けることになるのは間違いありません。

油圧式エレベーターリニューアルのまとめ

新規の設備導入はハードルが高く、エレベーターの停止は建物の運用自体にも影響を与えますし、大幅な工事期間が発生してしまうこともあります。
ところが、リニューアルなら建物の構造体に影響する心配はなく、停止期間も最小限で済みます。
運用コストの削減を始めとして、環境負荷軽減の実現、それに機能を追加したりデザインを変更できるチャンスが生まれます。
何よりも、設備に本来求められる快適性が大幅に向上しますから、新規に設備を導入する方法と比較して、優れたメリットが幾つもあると確認できるでしょう。